美容師が転職するメリット・デメリットを徹底解説【後悔しない選び方】

美容師転職のメリット・デメリット

この記事の目次

「このまま今のサロンで働き続けていいのかな…」「もっと自分に合う働き方があるんじゃないか?」

美容師としてキャリアを重ねる中で、多くの方が一度は転職を考えたことがあるのではないでしょうか。華やかな世界の裏側で、長時間労働や人間関係の悩み、将来への不安を抱えることは決して珍しくありません。

この記事では、美容師の転職におけるメリットとデメリットを、実際の調査データに基づいて徹底的に解説します。転職を成功させる人、後悔する人の違いはどこにあるのか。あなたのキャリア選択の羅針盤となる情報をお届けします。

美容師の転職、リアルな実態とは?

転職を考える前に、まずは美容師業界の転職市場が今どうなっているのか、客観的なデータから見ていきましょう。

約7割が転職を経験、理由は「人間関係」がトップ

ある調査によると、現役美容師の約7割(67.8%)が1回以上の転職を経験していることがわかっています。この数字は、美容師にとって職場を変えることが、キャリアを築く上で一般的な選択肢であることを示しています。

では、なぜ多くの美容師が転職を決意するのでしょうか。同調査で転職理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「人間関係」(42.2%)でした。僅差で「会社の将来性への不安」(27.1%)、「給与への不満」(22.4%)と続きます。多くの業界で人間関係は離職理由の上位に挙がりますが、少人数のチームで長時間働くことが多い美容室では、特にその影響が大きくなりやすいのかもしれません。

変化する働き方への価値観

近年、美容師が働く上で重視する価値観にも変化が見られます。ホットペッパービューティーアカデミーの調査では、「休日日数」や「仕事とプライベートの両立」を重視する声が年々高まっています。2025年の調査では、働く上で重要なこととして「休日日数」が44.5%、「仕事とプライベートの両立」が42.0%に達し、過去3年間でそれぞれ3.2ポイント、2.1ポイント上昇しました。

これは、単に給与や立地だけでなく、自分のライフスタイルに合った働き方を求める美容師が増えていることを示唆しています。働き方改革の流れは、美容業界にも着実に広まっているのです。

美容師が転職する5つのメリット

厳しい現実がある一方で、転職はキャリアを好転させる大きなチャンスにもなります。ここでは、転職によって得られる具体的なメリットを5つ紹介します。

給与や待遇の改善が期待できる

転職を考える最大の動機の一つが、給与や待遇の改善です。厚生労働省の調査によると、理容・美容師の平均月給は約30万円ですが、これはあくまで平均値。実際には、アシスタントとトップスタイリストでは大きな差があり、月収15万円未満の層が3割を超えるというデータもあります。出典: 令和6年賃金構造基本統計調査,

歩合率の高いサロンや、基本給が高く設定されている企業、福利厚生が充実している大手サロンなどに転職することで、収入アップと安定した生活基盤を手に入れることが可能です。特に、自分の技術や指名客数に自信がある場合、より正当な評価をしてくれる環境に移ることは大きなメリットとなります。

労働環境(勤務時間・休日)の見直し

「休みが少なく、プライベートの時間が全くない」「営業後の練習やミーティングで帰宅が深夜になる」。そんな悩みを抱えているなら、転職は有効な解決策です。近年、美容業界でも働き方改革が進み、「完全週休2日制」や「有給休暇の取得推奨」、「残業時間の削減」に取り組むサロンが増えています。

前述の通り、「休日日数」や「プライベートとの両立」を重視する美容師は増加傾向にあります。こうしたニーズに応えるサロンを選ぶことで、心身ともにゆとりのある働き方を実現できます。趣味や家族との時間を大切にしながら、美容師としてのキャリアを長く続けていくための重要な一歩と言えるでしょう。

技術や経験を活かしてキャリアアップ

美容師免許は、サロンワーク以外にも様々なキャリアの可能性を秘めています。例えば、手先の器用さやカウンセリング能力を活かして、アイリストやネイリストに転身する道があります。また、ヘアメイクアップアーティストとして撮影現場で活躍したり、美容メーカーのインストラクターとして技術指導を行ったりすることも可能です。

もちろん、美容師を続ける場合でも、特定の技術(例:髪質改善、デザインカラー)に特化したサロンに移ることで専門性を高めたり、店長やエリアマネージャーなどのマネジメント職を目指したりと、キャリアアップの道は多様です。今の職場で成長の限界を感じているなら、新しい環境は大きな刺激となるはずです。

人間関係をリセットできる

転職理由のトップが「人間関係」であることからもわかるように、多くの美容師が職場の人間関係に悩んでいます。先輩からの厳しい指導、同僚との意見の対立、オーナーとの価値観の不一致など、ストレスの原因は様々です。一度こじれてしまった関係を修復するのは容易ではありません。

転職は、こうした人間関係を一度リセットし、新たな環境で再スタートを切る絶好の機会です。自分に合う雰囲気のサロンや、尊敬できるスタッフがいる職場を選ぶことで、仕事へのモチベーションは大きく変わります。転職しない理由として「人間関係が良好だから」が上位に挙がる調査結果もあり、良好な人間関係がいかに重要かがうかがえます。

新しい働き方(業務委託・フリーランス)を選べる

正社員としてサロンに所属するだけでなく、多様な働き方が選べるのも現代の美容師の特長です。特に、業務委託やフリーランス(面貸し・シェアサロン)といった働き方は、自由度の高さから人気を集めています。

業務委託は、サロンと対等な立場で契約し、売上に応じた報酬を得るスタイルです。出勤日や時間を比較的自由に決められるため、プライベートとの両立がしやすいメリットがあります。ある調査では、正社員(25.6%)とほぼ同数の美容師(25.2%)が業務委託で働いているという結果も出ています。自分のペースで働きたい、頑張った分だけ収入に反映させたいという方には、魅力的な選択肢となるでしょう。

知っておくべき美容師転職の4つのデメリット

メリットに光が当たれば、必ず影も存在します。転職にはリスクも伴います。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、事前にデメリットもしっかりと理解しておきましょう。

職場環境が合わないリスク

求人情報やサロン見学だけでは、その職場の全てを理解することは困難です。入社してから「サロンの雰囲気が思っていたのと違う」「教育方針が自分に合わない」といったミスマッチが起こる可能性は常にあります。

特に、人間関係は入ってみないとわからない部分が大きいです。転職理由の1位が人間関係である一方、転職に失敗したと感じる原因もまた人間関係であることが少なくありません。事前の情報収集を徹底し、複数のサロンを比較検討することが、このリスクを最小限に抑える鍵となります。

給与が下がる可能性もある

多くの人が収入アップを期待して転職しますが、必ずしもそうなるとは限りません。特に、未経験の分野にキャリアチェンジする場合や、固定客がいない状態で歩合制のサロンに移る場合は、一時的に収入が下がる可能性があります。

求人情報に記載されている「月給◯◯万円~」という給与額を鵜呑みにせず、給与体系(基本給、歩合率、各種手当)の詳細を面接時にしっかり確認することが重要です。また、入客のチャンスがどれくらいあるのか、新規顧客の集客に力を入れているかなども、収入を左右する大切なポイントです。

新しい人間関係や職場文化に慣れる必要がある

人間関係をリセットできるのはメリットですが、裏を返せば、ゼロから新しい人間関係を構築しなければならないというデメリットにもなります。新しい上司や同僚との信頼関係を築き、サロン独自のルールや文化に順応するには、時間とエネルギーが必要です。

特に、長年同じ職場で働いてきた方や、自分のスタイルが確立されているスタイリストほど、新しい環境に馴染むのに苦労することがあります。謙虚な姿勢で新しいことを学ぶ柔軟性や、積極的にコミュニケーションを取る努力が求められます。

転職回数が多いとキャリアに不利になることも

美容師業界では転職が一般的であるとはいえ、短期間での転職を繰り返していると、採用担当者に「忍耐力がない」「またすぐに辞めてしまうのではないか」というネガティブな印象を与えかねません。

ある調査では、転職経験者のうち、2回以上転職している人が半数近く(46%)に上ることが示されています。転職自体は悪ではありませんが、その都度「なぜ転職するのか」という明確な目的と、次の職場でどう貢献したいかというビジョンを語れることが、キャリアを不利にしないために不可欠です。

メリットとデメリットを比較して考えるポイント

メリットとデメリットを理解した上で、自分にとって最適な選択をするためにはどうすればよいのでしょうか。重要な2つのポイントを解説します。

美容師が顧客にカウンセリング
顧客の要望を聞きながら、最適なスタイルを提案するカウンセリング風景

自分のキャリアプランと照らし合わせる

まず最も大切なのは、「自分は将来どうなりたいのか」というキャリアプランを明確にすることです。例えば、「30歳までに自分の店を持ちたい」「プライベートを重視して、安定した働き方をしたい」「特定の技術を極めて、唯一無二の存在になりたい」など、目指すゴールによって選ぶべき道は変わってきます。

転職のメリット・デメリットを、この自分のキャリアプランという軸に照らし合わせて評価してみてください。「給与は少し下がるかもしれないが、独立支援制度があるから将来のためになる」といったように、目先の条件だけでなく、長期的な視点で判断することが後悔しない選択につながります。

転職サイトやエージェントを活用して情報収集する

理想の職場を見つけるためには、質の高い情報をいかに多く集めるかが勝負です。美容業界に特化した転職サイトや転職エージェントを活用しましょう。これらのサービスは、一般には公開されていない非公開求人を多数扱っているほか、サロン内部の雰囲気や人間関係といった、個人では得にくいリアルな情報を提供してくれます。

キャリアアドバイザーに相談すれば、客観的な視点からあなたに合った求人を提案してくれたり、面接対策や給与交渉のサポートをしてくれたりもします。一人で悩まず、プロの力を借りることで、転職活動を効率的かつ有利に進めることができます。

クロ編集長のまとめ

最後に、美容師の転職で後悔しないためのポイントをまとめます。

  • 転職は当たり前の選択肢。 約7割が経験しており、主な理由は「人間関係」「将来性」「給与」。
  • メリットは大きいが、デメリットも直視する。 給与や労働環境の改善が期待できる一方、環境のミスマッチや収入減のリスクも存在する。
  • 価値観の変化を捉える。 近年は給与だけでなく、「休日の多さ」や「プライベートとの両立」を重視する傾向が強まっている。
  • 成功の鍵は「自己分析」と「情報収集」。 自分のキャリアプランを明確にし、専門のエージェントなどを活用してリアルな情報を得ることが重要。

転職は、あなたの美容師人生をより豊かにするための重要なステップです。メリットとデメリットを正しく理解し、自分自身の軸を持って判断すれば、きっと後悔しない選択ができるはずです。この記事が、あなたの新しい一歩を応援する助けとなれば幸いです。

参考資料

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美容師の転職事情2022年版|転職理由や働く美容室に求めることは?

美容師の転職事情2022年版|転職理由や働く美容室に求めることは?
2022年2月に現役美容師500人に対してアンケート調査を実施し、転職経験の有無や、その理由、働く美容室を選ぶ際に重要にしている事柄などを聞きました。結果、今美容師が職場に求めていることや、サロン側の課題が見えてきました!

[2]

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3割が直近1年で転職。「仕事とプライベートの両立」が新たなカギに?
美容業界で転職が活発化。直近1年で3割が転職したというデータから、いまサロンが押さえるべき「働き方の新基準」とは?

[3]

【現役美容師500人にアンケート調査】 現役美容師が転職理由や …

【現役美容師500人にアンケート調査】 現役美容師が転職理由や働く美容室に求めることは?|美容師の転職事情2022年版
GYRO HOLDINGS 株式会社のプレスリリース(2022年2月15日 15時00分)【現役美容師500人にアンケート調査】 現役美容師が転職理由や働く美容室に求めることは?|美容師の転職事情2022年版

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美容師の離職率は高い?資格を活かす4つの道とおすすめ職種を紹介

美容師の離職率は高い?資格を活かす4つの道とおすすめ職種を紹介 | モアリジョブ
美容師は、技術を駆使して多くの人々に美しさを提供する、やりがいのある仕事ですが、離職率の高さが課題となっています。給料の安さや長時間の労働・体調不良・人間関係のトラブルなど、辞めてしまう理由はさまざま。とくに若年層の美容師は、3年未満で離職...
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